-002- 国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

 久々に興奮の中で一気に読了してしまった。
 「国家の罠」に陥れようとする検察と、国益のために筋を通そうとする佐藤氏の駆け引きが抜群に面白い。
 佐藤氏は非常に優秀な外交官だったようだが、佐藤氏と対峙する検察官の西村氏も非常に有能で良いキャラクターをしており、お互いの論理を確認しながら落しどころを見つけていく過程を面白くしている。
 また、メディアではステレオタイプなイメージでしか描かれてこなかった鈴木宗男氏の日露関係修復に奔走する様子や、佐藤氏の拘留中の隣人(浅間山荘事件の坂口弘死刑囚と思われる)、拘置所職員など、普段は知り得ない様々な立場の人々の描かれ方が興味深かった。
 単なる暴露本ではなく、日本外交や官僚機構、ナショナリズムなど様々な面で考えさせてくれる良書だと思う。